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「雁来紅と回廊鏡」
ある所に、童話作家の少年が居ました。
彼は明くる日も明くる日も、物語を書き続けました。
時間が勿体ないと、鏡はずっと見てません。
雁来紅の世話をする時に、見えた自分の姿に驚き「子どもの頃に戻れたら」とこぼし、鏡を見ると何と言う事だろうか、鏡に写る自分は遠い姿の自分でした。
気が付くと鏡に写る姿だけではなく、自分自身もその姿に変わっていたのでした。
彼だけではなく目に見える世界全てが、変わってしまっていたのでした。
そして彼は気付きました、世界そのものが変わったのではない。自分だけが変わってしまったのだと。
しかし、彼には童話を書き続ける以外の可能性を奪われてしまったのでした。
彼は合わせ鏡の回廊の中にある、死の雨が降る夢(世界)へと永久に迷い込んでしまったのでした。
めでたし、めでたし
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